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Astrotourism Labについて
和歌山大学観光学部尾久土正己教授のゼミです。
宇宙観光やVR、天文台、光害など幅広く扱っております。

※研究室ではアストロツーリズムに関する論文・報告投稿をお待ちしております! 詳しくはこちらから

「宇宙と観光」をテーマに社会を読み解く

 皆さんは、宇宙や星空に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか?「綺麗」「壮大」「ロマンチック」「不思議」など、色々なものがあると思います。こうした、皆さんが持っている宇宙へのイメージは、当然のことながら、先天的なものではありません。皆さんが生活している社会文化を通して、時間をかけて構築されてきたものです。

 観光は、そうした皆さんが持っているイメージや感覚が、一種のピークに達した時に立ち現れる現象です。観光という、経済的にも身体的にも過度に負荷をかける行為は、相当な動機がなければ実行されないものであり、言わば「逸脱行為」です。言い換えると、私たちが暮らす「日常の」社会文化があるからこそ、観光なる現象は成立するのであって、社会文化と観光は常に「合わせ鏡」の関係にあるのです。

 こうした理解のもと、和歌山大学観光学部 Astrotourism Labでは、「アストロツーリズム(天文観光)」という現象から、私たちが生きる社会文化を読み解こうとしています。

 私たちは、アストロツーリズムを「美しい星空や天体を見上げるために、居住地を離れる諸活動」と定義しています。具体的な現象としては、公開天文台での星空観望会民間事業者が催行する星空ツアーへの参加流星群観測日食観光オーロラ観測などがあります。ここで挙げた観光形態は、雄大な自然環境の中で行われるものが多いため、Nature-Based Tourism や Ecotourismの一形態として議論される傾向にあります。こうしたアストロツーリズムなる現象は、近年、国際的に注目を集める観光形態へと成長しています。

 またアストロツーリズムは、自然環境の中で行われるものに限りません。プラネタリウムでの「ヴァーチャル」な星空観望、天文に関連する科学館・博物館への訪問、さらには地球を飛び出す「宇宙観光(Space Tourism)」など、その対象は多岐にわたります。その中でも、特にプラネタリウムは、日本のアストロツーリズムを考える上で重要な存在です。「光害」の影響を受けている都市住民は、野外での「リアルな」星空に先んじて、プラネタリウムでの「ヴァーチャル」な星空を見上げているからです。Astrotourism Labでは、世界最先端のデジタルドームシアターを用いて、こうした「リアル」と「ヴァーチャル」の関係を解きほぐす研究も進めています。

 なぜ今アストロツーリズムがブームなのか、その社会背景を探ることは、容易なことではありません。Astrotourism Labでは、人間工学の見地と人文社会科学の見地を融合させた、学際的な視点から、現代の複雑な社会文化を読み解く研究を進めています。宇宙や星空に興味のある方プラネタリウムや科学館に興味のある方Vertual Realityに興味のある方は、ぜひAstrotourism Labにお越しください。

Activity

当ゼミの扱う研究テーマはかなり幅広いです。応相談。

  • 鹿児島県与論町や和歌山県紀美野町、和歌山県和歌山市加太など、星空を地域資源に観光振興を進める自治体でフィールドワークを実施し、アストロツーリズムの持続可能性について考えます。
  • 最先端のデジタルドームシアターでは、内外の観光地から宇宙まで、360度のスクリーンに臨場感豊かに投影することができます。これらを使った新しい観光コンテンツを制作します。
  • 市民が科学を親しみを持って受け入れられるよう、音楽等の芸術や、マジック・ファッションショー・ダンス等のパフォーマンス、あるいは文学などと融合し、クリエや宇宙教育研究所、関係諸機関と協力して観月会、七夕祭り、サイエンスカフェ等々の多くのイベントの企画・運営を行います。これらのイベントへの参加を通じてプロデュース力やプロジェクトマネジメント力を育成します。
  • 全国各地の公開天文台や科学館・博物館はこれまで観光施設としての観点なしに運営されてきました。これらの施設での見学・調査を通じて、広く博物館の新しいマネジメントについて考えます。
  • 宇宙教育研究所の協力のもと、ロケット打ち上げ、天文観測、将来の宇宙観光、宇宙政策などについても希望に応じて研究することができます。

平時には、以下のような運営をしています。

  • 毎週のゼミでは、プレゼンテーションの鍛錬も兼ねて、持ち回りで個々の研究の報告をします。人前での表現力の育成と同時に、他のメンバーの研究活動を見て学び、また報告に対する質疑応答を通じて学びます。 2022年度の場合は、
    • 教養書の輪読(2022年度は 野尻抱影『星は周る』「北斗美学~」平凡社を購読)
    • 1-minute talks: 全員が「1分ちょうどで」近況報告
    • Long talks: 4回生による卒論研究の進捗状況報告×3(各30分程度)
    • Short talks: 3回生による学習(読書内容・研究報告)のまとめ報告×3(各20分程度)
    • ゼミ全体で取り組むプロジェクトに関するミーティング・作業