Sky Quality Meterと雲量

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数学ができない管理者のメモなので、あまり当てにしないで欲しい。

Cavazzami, S et al. (2020). Sky Quality Meter and satellite correlation for the night cloud cover analysis at astronomical sites. MNRAS, 493 (2).

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骨子:エカール天文台(イタリア)が有する2地点における雲量を、SQMと衛星データをもとに同定する研究。2地点は、光害の影響を受けない La Silla(9分毎)と光害の影響を受ける Asiago(10分毎)とし、SQMのデータはSky Quality Meter Databaseを、雲量を同定する衛星データはGOESのデータはMcIDAS-Vにて解析し、Aqua / MODISはNASAのGiovanniにて解析し使用した。

La SillaはSQM にてNSBを3分おきに計測しているため、3回の計測データ(9分毎)の標準偏差求め、AsiagoはSQMにてNSBを5分おきに計測している。これは時間的分解能が低いため、2つの値(10分毎)の半値全幅(a maximum half-dispersion)を求めた。これは天の川や月などの緩やかな変動を排除するためだ。(=雲量の変化は急激な変動)

前提1: 雲量が多いとSQMの標準偏差は大きくなる一方で(SQMの変動が大きい)、快晴時は標準偏差は小さくなる ⇒ 標準偏差が表4の閾値を超えると雲量が多いことになる(1月に240時間の分析を行い、その内、標準偏差を超えた時間が20時間である場合、20/240 × 100 = 8.3%の雲量になる)

表4: SQM観測値に対応した標準偏差の閾値

前提2: 光害の影響が少ない場所における満月の日は、雲量に拘わらず、SQMの観測結果は均質になる(標準偏差は小さくなる)。しかし新月の日で、雲量が多い場合は、標準偏差が大きくなる。

前提3: 光害の影響がある場所で、且つ雲量が多い新月の日は、人工光のはね返しのみの影響を受けるため、標準偏差は「比較的」小さくなる。しかし雲量が多い満月の日は、人工光および月からの影響を受けるため、標準偏差が大きくなる。

結果1(La Silla)- 光害の影響が少ない地点(Light pollution map: 21.9 mag/arcsec2

  • 新月/雲量多 ➔ σ=0.33(図5)
  • 新月/雲量少 ➔ σ=0.03(図6)
  • 満月/雲量多 ➔ σ=0.18(図7)
  • 満月/雲量少 ➔ σ=0.05(図8)
結果1:左上: 新月/雲量多 左下: 新月/雲量少 右上: 満月/雲量多 右下: 満月/雲量少

結果2(Asiago) – 光害の影響がある地点(Light pollution map: 20.9 mag/arcsec2

結果2: 左上: 新月/雲量少 左下: 新月/雲量多 右上: 満月/雲量多 右下: 満月/雲量少

結果3: SQMと衛星データの相関は、La Sillaで97.2%、Asiagoで94.6%であった。