電子観望/電視観望とは

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天体望遠鏡の接眼部にデジタルカメラや専用のイメージセンサーを取り付け、パソコンやスマートホンのディスプレーに画像を表示して行う天体観察。一度に多人数による観察もできる。

デジタル大辞泉(小学館)

天体望遠鏡で捉えた星の光を、接眼レンズ(アイピース)で直接覗くのではなく、高感度なCMOSカメラで捉えてスマホやタブレットの画面に映し出すのが「電視観望」である。

2022年頃までは、望遠鏡・架台・カメラ・PCを個別に組み合わせる必要があり、ややハードルの高い趣味であった。しかし、2025年現在は、これらが全て一体化した「スマート望遠鏡」が爆発的に普及。誰でもボタン一つで、肉眼では見えない淡い星雲や銀河を、色彩豊かに描き出せる時代となった。

現在、広まっている最中であり、メリット・デメリットが議論されているが、アストロツーリズムに大きな影響を与える技術だと思われるので、メモとしてまとめてみた。体験した人がどう感じているのかなど、今後の研究が求めらる。

電視観望の普及(宮川 治 東京大学宇宙線研究所天文教育) 天文教育 34 (3), 4-10, 2022-05より引用

メリット

観察者サイド

  • ライブスタック(多数の画像をその場で重ね合わせること)ができるため、ノイズを軽減した綺麗な天体画像が見られる
  • 画面に表示されるので、覗き待ちがへる。それにより、一人当たりの観察時間が増える。
  • 複数人で同時に同じものが見られる。楽しみが共有できる。
  • 従来の望遠鏡では見にくかった天体が見えるようになる(都会でDeep Sky系を見たり、色が見えたり)
  • 画面を写真に撮ったり、画面をキャプチャーすることですぐにSNSで共有できる
  • 図鑑で見たものと似た画像が見られる

運営サイド

  • そのままインターネット配信が行える、記録を残すことができる。
  • デジタルデータであるため、共有、加工がしやすい。
  • (eVscopeの場合)天文機材に深い知識がなくても扱える

デメリット・課題

観察者サイド

  • リアルな望遠鏡を覗くのに比べると、体験が弱いと考えられている
  • 自分で苦労して導入し、天体が見られるなどの感動が得にくい

運営サイド

  • 自動導入などを使用すると、機材への知識が少なくなる
  • カメラ組込型だと、レンズを交換し倍率を変えるなどができず、応用が効かない
  • 電子機器が多くなるため、従来のものに比べると故障しやすい。また進化が早いと考えられ、陳腐化が早い。

留意点

電視観望はあくまでも天体を観測する手段にほかならないため、見方が変わった場合はガイドの仕方や、知識を変えていく必要がある。

また、電視観望も眼視観望もそれぞれのメリット・デメリットがるので、両者の使い分けが大事になるだろう。

2025年版:機材について

現在は、目的に応じて大きく2つのスタイルに分かれる。

  1. スマート望遠鏡(オールインワン型):初心者や観光コンテンツとして導入する場合の最適解。設置から自動導入、撮影までをアプリ完結で行える。
  2. システム構築型:従来の望遠鏡にCMOSカメラ(ZWO社製など)を組み合わせる方法。既存の機材を活かしたい場合や、より高精細な画像を目指すファン向け。

主要スマート望遠鏡 比較表

2025年現在、市場でシェアの高いモデルの比較である。

モデル名口径 / 焦点距離重量価格(税込目安)特徴・ターゲット
ZWO Seestar S3030mm / 150mm約1.6kg約60,000円2024年登場。超軽量・安価で入門に最適。
ZWO Seestar S5050mm / 250mm約3.0kg約85,000円圧倒的シェア。フィルター内蔵で多機能。
Dwarf III35mm / 150mm約1.3kg約85,000円広角・望遠の2眼式。AI追尾機能が強力。
Unistellar Odyssey85mm / 320mm約4.0kg約400,000円〜反射式。接眼部搭載モデルあり。
Vaonis Vespera II50mm / 250mm約5.0kg約300,000円高画質センサーと洗練されたデザイン。
Celestron Origin152mm / 335mm約19kg約800,000円F2.2の明るい光学系。

システム構築型

望遠鏡につけるカメラ

ZWO社のカメラが有名。冷却モデル、非冷却モデル、センサーサイズ等でさまざまな種類のカメラがある。

一眼レフ、ミラーレスカメラを使用する方法もある(自己責任)。ソフトウェアとの相性もあるが、お手持ちのカメラで可能なため、気軽に試せるだろう。

よく使用されるソフトウェア

ZWO社製のドライバー、ソフトウェア、マニュアルなど。

Sharpcapは天文用カメラのキャプチャツールです。さまざまなカメラ映像のゲインを調整したり、できる。「望遠鏡につけるカメラ」を使用する場合このようなソフトウェアは必須。対応カメラや、対応スペック等はマニュアル参照。ただし日本語マニュアルはVer.3.2

ASCOM(AStronomy Common Object Model)は各種カメラ及び、各種ソフトウェアが連携できるように決められた、天文用の規格。もちろん前述のSharpCapやZWOは対応している。

参考文献

電視観望の普及(宮川 治 東京大学宇宙線研究所天文教育) 天文教育 34 (3), 4-10, 2022-05

銀河の渦巻きが都会で見える! 電視観望用望遠鏡による新しい天体観望会 渡部義弥 天文月報 114 (9), 583-591, 2021-09

電視観望望遠鏡 eVscope の衝撃 渡部 義弥 天文教育 34 (3), 11-14, 2022-05