日本で最も美しい夜空を残すために

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アストロツーリズムを推進するに当たって最大の課題となるのが、「光害」の問題です。

与論島では、星空に優しい照明の設置を目指して、城地区を中心にモデル地区を策定し、外灯の改修を進めてきました。具体的には、上方光束の漏光をゼロにし、かつ色温度3000K以下の照明(暖色系の照明)への切り替えを進めています。

生活に不可欠な照明と天の川が流れる満天の星空が共存できる空間を創造するべく、活動を進めています。

その努力の結果、2021年夏、環境省から日本で最も綺麗な夜空が見られる島として報告されました(環境省主催 令和3年度 夏の星空観察会)。

また与論島では、光害状況を定点的に観測できるSky Quality Meter(SQM)を設置し、2分毎の夜空の状況を毎日計測しています。

空間モニタリングを続けることで、お客さん・ツアーガイドの皆さんに、最良の星空観望時間を提供することが可能になっています。

実際の観測数値は、以下の図表をご参照ください。

1日分

1週間分

1ヶ月分

発表者
報告日時
対象地域
今日の天気
明日の天気
明後日の天気

※目安として、次の図をご覧ください。左から2番目にあるmag/arcsec2は、上記のSky Quality Meter観測値を示しています。与論島では、月のない条件の良い時間だと21.8mag/arcsec2程度が検出されます(観測値は雲量や天気によって左右します)。この値は、人間が目で見ることのできる星の数以上の夜空を意味します(※肉眼限界等級には、諸種議論あることに注意を要します [eg., 小野間, 2017])。したがって、月がない時間帯には、5000個以上の星を見つけることができるのです(下図、一番右の値を参照)。

ちなみに、新宿駅では17.43mag/arcsec2、那覇国際通りでは18.60mag/arcsec2ですから、見られる星の数が全く違うことが分かると思います(Light Pollution Map参照)。

引用:http://www.darkskiesawareness.org/nomogram.php(日本語の注釈はLab管理者に依る)

今後は、モデル地区住民に向けたアンケート調査や、全島における外灯状況の調査を実施する予定です。