観光動態調査は様々なビッグデータが使用されている。ここではGPSや検索キーワードなどをアプリなどのサービスから取集・分析した実際のサービス例と主な調査事例をあげてみた。
投稿現在(2022/04)の情報のため、最新情報は各種サービスHPを参照してほしいが、観光の地理的分析を行いたい学生や観光動態調査を行おうと考えている行政の方の役に立ててほしい。
混雑統計
混雑統計®はドコモの地図サービス利用者のGPSデータを加工したもので、どんな属性の人がどこへどんな交通手段でどこへ向かったかを分析するサービス。ドコモユーザー(一部)が対象のため、大勢のデータを分析が可能。また、歴史のあるデータのため時系列分析が可能、調査事例が多いのが特徴。
研究・調査例
大規模・長期間のGPSデータによる観光統計調査の活用可能性~石川県を事例に~
大規模移動データを用いた商業地域における来訪者の特性分析
パーソントリップ調査(群馬県)
NAVITIME 交通コンサルティング
NAVITIMEのナビゲーションアプリ、乗換案内、NAVITIMEの技術を使用した独自アプリなどから収集したGPSデータ、検索データ、その他を匿名化加工分析したもの。検索回数や周遊状況、訪れる時間帯、信号待ち時間など幅広い情報を保有している。車だけでなく全ての移動が分析できるのが特徴。
研究・調査例
ビワイチサイクリングナビゲーションシステムを活用した動態分析等調査業務
GPSログデータを用いた訪日外国人旅行者の訪問パターンの分析手法の開発
ビッグデータによる観光動態分析
なお、NAVITIMEの検索データは実際の観光動向と高い相関があることが、本ゼミでの研究で示唆されている。
Yahoo! DS.INSIGHT
Yahoo! JAPANでの検索キーワードや地図アプリ、乗換案内などで収集したGPSデータ、検索データを用いて分析。利用者が自分で簡単に分析できるのが特徴。
研究・調査例
ビッグデータを活用した2020年大型連休における流入人口および滞在人口等の分析について
第 62 回 徳島県新型コロナウイルス感染症対策本部会議(資料4)
DS.INSIGHTでwithコロナ時代の観光を考える ~移動に対するブレーキ・アクセルと旅先選択~(Yahoo公式note)
Traffic Visionプローブデータ&サービス
Hondaインターナビに搭載されているGPSデータを分析し、実際の移動時間(リンク旅行時間)やどこからどこへ行ったか(OD表)の分析が可能。車移動に特化した分析ができるのが特徴。
研究・調査例
被災地の通行実績情報マップをGoogleと提供
プローブデータを道路行政に活用する
幹線道路におけるフローティングカーデータを用いた追突事故の統計分析
KDDI Location Analyzer(au系)
auの携帯電話ネットワークやGPSデータを使用した人流分析サービス。ツールでの提供なので、自分達でしたい分析ができることが特徴。なお、技研商事インターナショナル株式会社との協業で提供されている。
データだけの提供や(KDDI Location Data)、レポートでの提供(Location Trend)も可能。
事例・研究例
導入事例集
人流データのオープンデータについて(岡山県)
大型連休期間における江の島周辺エリアの影響を検証しました
商業店舗賃料と携帯電話端末GPSによる歩行者通行量データとの関係に関する研究 —下北沢を対象としてー
公共施設の整備・管理運営における包括的な官民連携のあり方に関する研究
Agoop流動人口データ(SoftBank系)
SoftBank系のGPSデータを使用した人流統計サービス。最小50mメッシュからという細かなサイズでデータ提供が可能なことが特徴。
研究・調査例
札幌市都心部における人流データの比較(平日適宜更新)
メッシュごとのPOI別人数データを用いた人流予測の提案
まとめ
各サービスは調査への利用実績のあり信頼性のあるデータだと思われる。そのため、「調査の目的」に合わせてサービスを検討すべきだ。例えば、迅速な意思決定が目的であれば、自分で分析が可能な「DS.INSGHT」が良いが、専門家がじっくり分析したレポートで意思決定したい場合は「混雑統計」や「ナビタイム交通コンサルティング」が良いだろうし、車での動態を知りたいのであれば「Traffic Vision」が適している。
間違った情報もあると思いますが、みなさまの参考になれば幸いです。